先日の記事「【速攻】読書感想文を1日で終わらせる方法とは?!」にて、論説文の読書感想文は目次を読めば書けることをお伝えしました。反響が大きかったので、目次から読書感想文を構成するための具体的な方法について解説いたします。2023年課題図書中学校の部である、長谷川敦『人がつくった川・荒川―水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする 』を用いて、目次から読書感想文を書き上げるやり方を見てみましょう。
人がつくった川・荒川―水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする
長谷川敦 著
出版 旬報社
ISBN 9784845117703
この記事の目次
『人がつくった川・荒川』の目次:読書感想文の素材選び
論説文における目次は、本文の見出しを並べたものと言えます。すなわち、「筆者の主張」を並べたものと換言できます。そう考えれば、手元にに「まとめサイト」があるようなもの。目次から「自身の書きやすそうなもの」をピックアップすれば、読書感想文の素材選びができてしまいますね。
さて、下記は長谷川敦『人がつくった川・荒川―水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする 』の目次を引用したものです(太字は私によるもの)。
早速「自身の書きやすそうな素材」を選びましょう。5個から7個ほど選んでみます。
「自分が興味を持てるもの」を3個ほど選びましょう。これらが、読書感想文の「メイン」となる予定です。
次に、「荒川について説明する」ためのものを3個ほど選びましょう。これらが、読書感想文の「導入部分」となる予定です。
●目次
はじめに
第1章 時代とともに、変化した川・荒川
■大きく変化していった荒川の流れ
■生活を豊かにするために川の流れを変えた
■人々を水害から守るため、新しく川をつくった
■人々は川とどのように向き合ってきたのだろう第2章 荒川があったから、江戸も農村も発展した!?
■日本一広い平野・関東平野の中を流れる
■下流になってから東京都に入る
■縄文時代のころ、関東平野の大部分は海だった!?
■広い平野はできたけれど、米づくりには苦労した
■江戸は川のおかげで、昔から栄えていた!
■土木技術の発達で、田んぼがどんどん増えていく
■伊奈忠治、荒川の流れを西に、利根川の流れを東にうつす
■川の流れを変えることのメリットとデメリット
■大囲堤で、おしよせる水をブロック
■江戸に築かれた二つの堤防・日本堤と隅田堤
■水塚のあるまち・志木市宗岡を訪ねてみた
■舟運のために川をくねくねと曲がらせる
■ウンチとオシッコが、船で運ばれていたワケとは!?第3章 東京を水害から守る! ~荒川放水路の建設~
■隅田川沿いにどんどん工場が建てられる
■大水害をきっかけに荒川放水路の建設が決定
■放水路のために、家や土地を手放さなくてはいけなかった人たち
■最初は機械を使わず、人の手で掘った
■日本人でただ一人、パナマ運河の建設工事に参加
■ともに働く仲間をとても大切にした青山士
■荒川の中流でも水害対策のための工事がおこなわれる
■川を直線にする工事がおこなわれ、舟運はおとろえる
■日本一の川幅と横堤が、荒川の氾濫をふせいでいる第4章 今の時代の荒川と、わたしたち
■カスリーン台風のとき、もし放水路がなかったら!?
■ダム・調節池・放水路でまちを水害から守る!
■地球温暖化で雨の降り方が変わった?
■流域全体で水害をふせぐ「流域治水」の考え方
■川が氾濫したとき、避難はどうする!?
■浸水しても、しばらく生活ができるまちをつくる
■みんなに参加してもらうには「楽しい! 」がキーワード
■いろんな人が集まり、まちづくりのアイデアを出す
■地域を支えていくのは小学生と中学生
■「もしも」のときのために、準備しておきたいこと第5章 荒川と世界の未来のためにできること
長谷川敦『人がつくった川・荒川――水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする 』
■隅田川がきたなくなりすぎて、花火大会が中止になる
■わたしたちの生活に、川をふたたび身近な存在にするために
■荒川のごみ拾いに参加してみたら……
■荒川のプラスチックごみも、世界の海をよごしている
■生まれてきたときよりも、よりよくして残したい
私は、「自分が興味を持てるもの」として第5章から次の2個を選びました。これらを取り掛かりとして、読書感想文の「メイン」を展開していきます。
■隅田川がきたなくなりすぎて、花火大会が中止になる
■荒川のごみ拾いに参加してみたら……
次に、「荒川について説明する」ためのものを5個を選びました。これらを、読書感想文の「導入部分」として本の紹介をします。
■日本一広い平野・関東平野の中を流れる
■縄文時代のころ、関東平野の大部分は海だった!?
■江戸は川のおかげで、昔から栄えていた!
■土木技術の発達で、田んぼがどんどん増えていく
■伊奈忠治、荒川の流れを西に、利根川の流れを東にうつす
読書感想文は、「自身の感想・主張」を決めることが「最初の一手」
読書感想文をはじめ、すべての作文は、「誰かに何か(自身の主張)を伝える」ために書くものです。文章を書き始める前に、「何を伝えたいか」を先に決めましょう。
とはいえ、難しく考える必要はありません。ありきたりのことで充分です。しかも、一言で良いのです。
今回の例では、「綺麗な川を守りたい」としました。
このあとは、この「伝えたいこと(自身の主張)」を伝えるために、論の展開(構成)を組み立てていきます。
読書感想文の一般的な構成に当てはめる「柱立て」
全体の構成は、4段構成が書きやすいです。「書き出し+序論」「本論その1」「本論その2」「結論」で構成することとします。
この構成に従って、どこで、どのような論を展開するかを考えます。ただし、この段階では、「いきなり文章にしないこと」がポイントです。語句や文といった短い構成要素の集合体にしていきましょう。
では、実際に当てはめていきましょう。
書き出し+序論
書き出し「川の土手に寝そべって、空を流れる雲を眺めるのが私の密かな楽しみだ」
私と川
川での思い出・自転車の練習 など
本論その1
人と川の関わり
■日本一広い平野・関東平野の中を流れる
■縄文時代のころ、関東平野の大部分は海だった
■江戸は川のおかげで、昔から栄えていた!
治水の歴史
■土木技術の発達で、田んぼがどんどん増えていく
■伊奈忠治、荒川の流れを西に、利根川の流れを東にうつす
本論その2
憩いの場としての川
■隅田川がきたなくなりすぎて、花火大会が中止になる
花火と河川の環境保全
■荒川のごみ拾いに参加してみたら……
私もゴミ拾いに参加してみた(実際に気づいたこと)
結論
結論「綺麗な川を守りたい」
治水と環境保全
私にできること:
「今」
「将来」
「川を守る」仕事
締め「私の憩いの場は、私自身で守りたい。それはきっと、私たち日本人が愛してきた河辺の風景を守ることに他ならない、と私は信じている」
肉付けして「文章」に:読書感想文の完成
ここまでで、全体の構成ができました。
しかし、「柱立て」の段階では、語句や短文の集合体でしかありません。これから、文章として肉付けし、読書感想文を完成します。
キーワードとして挙げた語句や文を用いて、具体的なエピソードを記述します。あるいは、各段の構成内に、「結論」を意識した論の展開を行います。
「柱立て」の段階で文章化してしまっていると、文章として「膨らます」ことが難しく感じられるようです。この「肉付け」の段階で「文章化する」ことにより、全体の文字数に応じた「文章量」を調整しやすくなります。
いかがでしたか。
今年2023年の課題図書長谷川敦『人がつくった川・荒川―水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする 』の読書感想文は、目次から書くことができるのです。読書感想文の仕上がりは、もうすぐそこです。