この記事の目次
中学校
わたしは食べるのが下手

天川栄人 作
小峰書店
ISBN 978-4338287289
本の紹介
会食恐怖症と摂食障害。ふたりの少女がたどり着いた正しい“食”との向き合い方。
食の多様性を通して考える、私たちの望む給食ってなんだろう。
アプローチのヒント
- 食に関する悩み
- 宗教や地域による食習慣の違い
- 家庭の経済格差による給食の捉え方
スラムに水は流れない

ヴァルシャ・バジャージ 著
村上利佳 訳
あすなろ書房
ISBN 978-4751531846
本の紹介
インドのスラムは水の供給が極端に悪い。少女ミンニは水関連の事件や母が倒れるなどの試練の中、健気に生きぬく、勇気と成長の物語。
アプローチのヒント
- インドの社会問題。インドの「今」に迫る。
- スラム、カーストという「生きにくさ」の中でいかに生き抜くか
- 水は蛇口を撚れば出てくるもの・・ではない
- 日本国内から「世界」に視野を広げてみよう
鳥居きみ子:家族とフィールドワークを進めた人類学者

竹内紘子 著
くもん出版
ISBN 978-4774333861
本の紹介
明治から昭和時代にかけて活躍した人類学者、鳥居龍蔵は「知の巨人」といわれた。その妻、鳥居きみ子の生涯に焦点を当てた一冊。女性の活躍が厳しい時代に、「家族で調査・研究する」ことにより、人類学の領域で民俗学を拓いた先駆的な研究者の物語。
アプローチのヒント
- 学問の世界、研究者として生きる
- 女性の活躍の場は、いかにして拓かれてきたのか
- 「女性だから」と諦める必要なんてないんだ。生き方、探求の自由に男女の差はないはずだ。
高等学校
銀河の図書室

名取佐和子 著
実業之日本社
ISBN 978-4408538594
本の紹介
宮沢賢治の言葉を残して、突然不登校になった先輩。「ほんとうの幸いは、遠い」というメッセージに込められた思いとは。
「ほんとうの幸いは一体何だろう」は、『銀河鉄道の夜』に出てくる友人、カムパネルラのセリフ。
アプローチのヒント
- 人には、それぞれに「ほんとう」がある。ひとは、それにどう向き合うのか。
- カムパネルラの自己犠牲を、どう捉えるべきなのか。現在の価値観と照らし合わせて考察する。
- 「ほんとうの幸い」はどのようなものか。大人でも答えにくい問いです。宗教的アプローチ、哲学的アプローチもよいでしょう。
参考図書
別冊NHK100分de名著 集中講義 宮沢賢治―ほんとうの幸いを生きる
山下 聖美 著
NHK出版
ISBN 978-4144072352
夜の日記

ヴィーラ・ヒラナンダニ 著
山田 文 訳
金原瑞人 選
作品社
ISBN 978-4867930410
本の紹介
イギリスからの独立とともに、ふたつに分かれてしまった祖国。ちがう宗教を信じる者たちが、互いを憎みあい、傷つけあっていく。歴史の波にのみ込まれた12歳の少女の物語。
『夜の日記』は、1947年、イギリス領だったインドから、現在のインドとパキスタンが分離独立したときの悲劇を扱った作品。
アプローチのヒント
- 宗教、立場、考え方の違いによる「分断」は、今の時代にも起きている。「他者への理解」「共存」という視点からのアプローチは有効。
- ひとはなぜ、グループをつくり、優劣を決めたがるのか。自分と違うものを排除しようとするのか。
- 人と人とを結びつけるものは、「ことば」だけではない。料理、思い出、共に過ごした時間・空間。ひとの触れ合いに焦点を当ててみる。
「コーダ」のぼくが見る世界:聴こえない親のもとに生まれて

五十嵐 大 著
紀伊國屋書店
ISBN 978-4314012089
本の紹介
聴覚障がいの親のもとに生まれた子どもたち「コーダ」を取り上げたノンフィクション。
ときに手話を母語とし、ときにヤングケアラーとみなされて、ろう者とも聴者(ちょうしゃ)とも違うアイデンティティを持つコーダは、社会でマイノリティとして生きている。
アプローチのヒント
- 言語やコミュニケーションの大切さ
- 自分と異なる人の立場を想像する難しさ
- 社会が人をラベリングすることによって生じる、当事者の「安心感」と「疎外感」
- 身体障害者が健常者に同情・感動をもたらすコンテンツとして消費されることに関する考察