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文章構成のコツ!結論までの話の繋げ方
伝えたい「結論」を読者に納得させるために「どのように伝えるか」「どのように説明するか」を考えることが、文章構成のコツです。ですから、最初にするべきことは、「伝えたいこと」つまり「結論」を決めること。「結論に導く」ために「文章を繋げる」のです。
文章構成にはいくつかのパターンがありますが、大切なポイントは、「どのように話を繋げるか」です。
「導入」「論の展開1」「論の展開2」「結論」のように4つのブロックで文章を構成すると書きやすいでしょう。もちろん、3つのブロックで構成することも、5つのブロックで構成することもできますが、これらは4段構成のバリエーションと捉えてもらって結構です。
このようなブロックで話をつなぐときのパターンとして、主なものは次の3つです。
- 起承転結(4段構成)
- PREP法(4段構成)
- 序破急(段構成)
もちろん、これらのパターンでなければならない訳ではありません。読書感想文を書きやすいパターンとして理解しておいて下さい。「話の繋げ方」の一例ということです。
起承転結(4段構成)の使い方
「起承転結」とは、文字通り「(話を)起こして」「(起こしを)承り」「(話を)転じて」「結ぶ」、4つのブロックで構成した話の進め方です。次に挙げる「糸屋の娘」は、起承転結を理解するのに最適です。特に「転」がウマイ。
起承転結の概要
大阪本町 糸屋の娘 (起)
姉は十七 妹は十五 (承)
諸国大名 弓矢で殺す (転)
糸屋の娘は眼で殺す (結)
この起承転結で文章を構成すると、読者が理解しやすく、記憶に残りやすい文章になると言われています。ただし、あまり「転」に捉われない方が書きやすいでしょう。飽くまで、「導入」「論の展開1」「論の展開2」「結論」のように4つのブロックで「話を繋げる」くらいに考えるとよいです。
読書感想文での起承転結の応用
それでは、起承転結で読書感想文を書くとき、「どこに何を書いて話を繋げるのか」を紹介します。
起:導入
読書感想文全体の「導入」となります。本の主要な内容を簡潔に説明します。ただし、「あらすじの紹介」ではありません。目的は、「どんな本について、どんなテーマで話をしようとしているのか」を提示することです。
ここで、読んだ本の基本情報(タイトル、著者、出版年など)を紹介しておき、のちの「承」(論の展開1)や「転」(論の展開2)に繋ぐことを狙います。また、その本を選んだ理由や、読む前に抱いていた期待について触れたり、重要な登場人物や事件を挙げることもあります。
ポイントは、この部分で挙げるお話は、「承」(論の展開1)や「転」(論の展開2)のための「きっかけづくり」ということです。
承:背景説明
ここでは、「その本のテーマやメッセージをどのように捉えて、何を考えたのか」感じたことや考えたことを書くとよいです。
例えば、「起」で挙げた重要な登場人物や事件について、自分の印象を述べたり考えたことを述べたりします。自身の経験したことや日頃感じていることなどを、本のテーマと対比して具体的に書くことで、文章の説得力が増します。自身の考え方の背景に触れながら、その本がどのような感情や考えを自分の中で呼び起こしたかを具体的に織り交ぜることが重要です。
ここでの「論の展開」は、次の「転」でワンクッション入れて「結論」に導くための、いわば仕掛けといえます。
転:批評と深堀り
このブロックは、「転」にこだわりすぎず、「論の展開2」と捉えてください。つまり、「転」として「別なものの見方」を提示するのもよいし、「論の展開2」として「承」の論を深掘りするのもよいのです。ポイントは、この部分が「論の展開1」と「結論」の「橋渡し」を担うということです。
読んだ本に対する自分の評価や考察などを述べるとよいでしょう。
「結論」が本のメッセージに批判的なものであれば、ここでの「論の展開」は、本とは「別なものの見方」を挙げて自分の考えを述べることになります。
あるいは、「結論」が本のメッセージに共感するものであれば、ここでの「論の展開」は、「承」の論を深掘りして、自分自身または登場人物の感情分析を行ったり、時代や世相について考察するなどします。
本の共感できた点だけでなく、疑問に感じた部分や拒否感を覚えた部分にも触れることも、テクニックとして有効です。本のテーマが自分の経験や現実の問題とどう関連しているかを深く探究することで、「あなたの『結論』に納得させるための根拠を提示」することができます。
この「転」こそが読書感想文の中核をなす部分であり、あなたが読者に対して新たな視点を提供する機会となります。
結:結論
「結論」とは、あなたの「主張」あるいは「伝えたいこと」です。例えば、読んだ本から得た教訓や影響、読後の感想(大袈裟かもしれませんが、人生観の変化など)をまとめるとよいでしょう。また、自分自身にとってこの本がどのような意味を持つのかを振り返り、感想文を締めくくることもできます。
これまでの各ブロックは、このブロックで伝えたいことを書くために組み立てるのです。このブロックを書くまでに「結論」がブレてしまうことのないよう、各ブロックをしっかりと組み立てていきましょう。
PREP法(4段構成)の使い方
「PREP法」は、ポイント(Point)、理由(Reason)、例示(Example)、再度ポイント(Point)の4つの要素で構成します。この構造は、議論やプレゼンテーション、文章において、意見やアイデアを論理的かつ効果的に伝えるために用いられます。
PREP法の概要
- ポイント(Point) – 主張やテーマを明確に提示します。
- 理由(Reason) – そのポイントを支持する理由を説明します。
- 例示(Example) – 具体的な例や証拠を挙げて、理由を補強します。
- 再度ポイント(Point) – 主張を再確認し、文章を締めくくります。
読書感想文でのPREP法の応用
それでは、PREP法で読書感想文を書くとき、「どこに何を書いて話を繋げるのか」を紹介します。
ポイント(Point)
読書感想文において「Point」で行うべきは、まず、自分の主張や論じたいテーマを「1つの明確な文で提示」することです。これが議論の出発点となります。PREP法は、「結論」を先に提示する文章構成ですので、起承転結よりも書きやすいという見方もできます。
次に、本の主要な内容を簡潔に説明します。もちろん、「あらすじの紹介」ではありません。目的は、「どんな本について、自分が提示したテーマで話をしようとしているのか」を明確にすることです。自分の主張や論じたいテーマの背景を示すのです。
理由(Reason)
このブロックでは、主張の根拠を述べます。
読書感想文では、この部分で作品のテーマやキャラクターの行動、作家の意図など、本を読んで感じた自身の解釈を「論の展開1」として論述します。
例示(Example)
具体的な例を挙げることで、前のブロックである「Reason」が具体的な根拠に基づいていることを示します。本の引用や特定のエピソードの説明を通じて、「論の展開1」に説得力を持たせます。
読書感想文では、ストーリーの具体的なシーンを取り上げるとよいです。そして、それを「Point」で述べた自分の主張やテーマと関連付けて、「論の展開2」として論述します。
ポイントの再確認(Point)
最後に、初めに提示した「Point」に立ち返り、自分の主張や論じたいテーマについて纏めます。提起したテーマを整理したり、将来に向けた展望を述べたりして、読書感想文を締めくくります。
序破急(3段構成)の使い方
「序破急」とは、主に映画や演劇、音楽などで使われる構成技法です。この構造では、物語や演出が次第に高まりを見せ、最後にクライマックスを迎えます。メリハリのある展開ができるので、プレゼンテーションの構成にも向いています。読書感想文に応用すれば、読者を引き込むような論理展開が期待できます。
序破急の概要
- 序 – 導入部分。物語の始まりです。
- 破 – 展開部分。出来事や問題が発生します。
- 急 – クライマックス。
読書感想文での序破急の応用
それでは、序破急で読書感想文を書くとき、「どこに何を書いて話を繋げるのか」を紹介します。
序:導入と設定
読書感想文の「序」としては、読んだ本の概要や、その本を選んだ背景などを書くとよいでしょう。読者に対して、本のテーマや登場人物などの情報を紹介したり、その本にどのような期待を持っていたのか、どのような点で興味を持ったのか、あなたの視点を共有します。
このブロックで、「どんな本について、どんなテーマで話をしようとしているのか」を提示して、読書感想文の導入とし、この後の論の展開の方向性を設定します。
ポイントは、「破」の伏線を張るということです。
破:展開と問題提起
「破」では、「論の展開」を行います。
主要なテーマや問題を浮き彫りにします。読んだ本の内容をさらに詳しく掘り下げ、キャラクターやプロットの中で特に印象的だった部分や、考えさせられた問題点について述べます。
読書感想文において「破」のブロックは、内容紹介終始することなく、本を通じて遭遇する葛藤や挑戦に焦点を当てるべきです。「破」における「論の展開」次第で、読書感想文の完成度が決まると言っても過言ではありません。
また、序破急は3段構成の文章構造ですが、「破」のブロック内で「論の展開1」「論の展開2」とすることで、格段に書きやすくなります。「論の展開1」と「論の展開2」の関係は、必ずしも「転」ではないので、「けれども」「一方」のような繋がりとは限らず、順接あるいは並列のような繋げ方でも構いません。
急:クライマックスと結論
「破」の内容を纏めます。
読書感想文においては、クライマックスといっても派手なものではなく、「結論」にあたります。自分の考えや主張を述べます。このブロックに「自分の考えや主張」を書くために、「序」で伏線を張り、「破」で論を展開するのです。
例えば、その本が自分にどのような影響を与えたのか、また、読後の気づきや自身の変化について、あらかじめ決めておいた「自分の主張や論じたいテーマの結論」に関連付けて、深く掘り下げます。
「急」のまとめ方を工夫すると、読書感想文はより論理的で説得力のあるものとなります。
まとめ
文章構成は、「伝えたいこと」や「自身の主張」に読者を導くために、「文章を繋げること」です。「書きたいこと」「伝えたいこと」を決めてから、文章構成に取り掛かりましょう。
4つのブロック(あるいは3つのブロック、または5つのブロック)で構成すると書きやすいです。ブロックの構成パターンとして、「起承転結」など、さまざまなパターンがありますが、これにこだわる必要はありません。「文章の繋ぎ方」の一例として捉えましょう。
文章構成のコツは、「結論=伝えたいこと」を読者に納得させるために、「どのように話を繋げるか」です。